2009年10月20日火曜日

日本が引き金となる'Death Spiral'

UPDATE: Einhorn Bets On Major Currency 'Death Spiral'
On Monday, Einhorn said Greenlight has added new trades to this investment theme, buying long-dated options on much higher interest rates in Japan and other developed regions--effectively giving the firm the chance to make big profits from a jump in rates. The options, bought from major banks, are tied to interest rates four to five years out, Einhorn said.

"Japan may already be past the point of no return," he said during a presentation at the Value Investing Congress in New York.

Japan's debt is equal to 190% of the country's gross domestic product, and its government deficit will be 10% of GDP this year, Einhorn said.

Japan has been able to borrow money at roughly 2% a year to finance these deficits, partly because the country has many savers willing to buy low-yielding government bonds. However, some of these savers may begin spending instead as they enter retirement, Einhorn argued.

"When the market refuses to refinance at cheap rates, problems emerge," he said, adding that this could trigger a "currency death spiral."

Interest rates have been very stable in Japan for years, so the options on higher rates that Greenlight bought were relatively cheap.

日本の国債の金利が将来上昇することに、アメリカの優秀なファンドが賭けるようだ。
最近の国債のCDSの市場でも他国のCDSが半分になるなか、日本だけが上昇。

日本の金融資産の伸びよりはるかに日本の国債の伸びは増えてきている。今までは将来の国債市場への不安から貯蓄を増やし、その貯蓄が国債を支えてきた。
今年の税収が40兆円に大して支出が90兆円。GDPが500兆円なので、債務比率はGDPの10%。歳入を越えているように見える。
そして一番の問題は、歳入はこれからますます減るということだ。医療改革が遅れれば、医療費もものすごいことになるだろう。

日本は自国で国債を持っているから、国がデフォルトすることはない。通貨を発行して通貨価値を下げればいいという人もいる。今回の金融危機でも銀行は自己資本率が下がり、苦しんだのに、日本国債の金利が上がれば、もっとダメージを受ける。これは金融市場が崩壊することを意味している。

民主党は、口では歳出削減の努力と言っていたが、結果は95兆円の歳出。姥捨山と高齢者医療を批判していたが、歳出に置ける一番のガンは高齢者への社会保障だ。僕は以下に少ない歳出で政治ができるかが鍵だと思っているので、民主党は自民党よりもひどい。

株式市場にしても成長を基本として成り立っている。将来確実に売上が落ちる株は、配当以上に株価下落のリスクもくっついてくる。

悲観的なことばかり考えてしまうが、20年前日本が20年間成長しないことをだれが予想しただろうか?

タイトルのとおり一度始まると加速するのがスパイラル。

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2009年10月10日土曜日

ドルはこれから反転する。

マーク・ファーバーブログから
"We have now flats, condos in Hong Kong selling for 9,000 USD per square foot. In America, the price level compared to the price level in some of these asian cities is actually quite low. So I think the US Dollar is no longer overvalued for the time being and the sentiment about the US dollar is so negative that we can have a rebound in the dollar for a couple of months. That would indicate some tightning of global liquidity and would be bad for asset markets as was the case in 2008, when the US dollar rebounded and all asset markets went down"

 ドルは売られすぎて、今は高くないという話。理由はほかのアジアの土地の価格に比べて割高ではないからだそうだ。
 例えば今円が安いのは、キャリートレードの逆が起きているからだ。円を売りドルを買う運用をみんながしていた。円は売られ続け値段は下がり続けた。だから売った人は為替でも儲かり、金利でも儲かった。今はその逆の動きだ。円が上がり、為替で損するから仕方なくポジションを解消している。やはり日本自体は債権国だ。このポジションは莫大な額。

 しかし、日本に投資先はない。今の円レートでは輸出産業は非常に苦しい。ドルベースなら、110円と90円では2割ほど円の設備や人のコストが増えたのと等しい。

 今は、89.74円。105円くらいまではすぐに戻しそうだ。

2009年10月9日金曜日

財政支出を拡大することで国は成長するのか?



How big are fiscal multipliers? New evidence from new data
How much stimulus does spending provide? This column says that fiscal multipliers are much weaker in countries that have high debt, lower income, flexible exchange rates, and greater international openness. Policymakers should consider these characteristics when evaluating the benefits of any fiscal stimulus package.

 政府支出を増やすことで財政を支出を拡大することはできるのか?
 これに対しての分析の記事があった。結論から言うと、国の負債の状況、グローバリズムの度合い(開放経済か閉鎖経済か)、変動為替か固定為替かによるらしい。
 もちろん負債が多いほど、開放経済のほうが、変動為替制度のほうが政府支出による経済への効果は低い。

 Mundell-Fleming modelというモデルで開放経済か閉鎖経済かで政府支出への影響がどうなるか語っているらしい。
 なんとなくイメージすると開放経済の場合、政府支出を行うと税金は国民だけが払うのに輸入も増えるので他国にお金が流れ、その分その次の消費につながるお金が減る。(乗数が低くなる)政府はお金を調達するために国債を発行するのでそれで長期金利が上がり、国内の投資が減り、変わりに海外に投資するので国内の投資が減る。
 実際はどのような理論なのだろうか?いつかこのモデルについては勉強したい。

 また為替制度に関しての分析もあるのが面白い。僕も変動為替制度と固定為替制度ではまったく違う世界になると思っている。日本の輸出産業の利益や成長率もこれに一番左右されていると言っても過言ではない。これもしっかりと経済の本で分析したほうがいいのだが、簡単にイメージしてみると、超お金持ちの多い国とお金のない国が契約を結ぶと、お金のある国の思うように為替を操作できる。また、生産性のギャップを瞬時に為替で調節できるとしたら、為替が変動するだけで生産性はお互い変わらなくなる。
1万ドルで1台の車を作る国と、100万円で2台の車を作る国があるとして、そのときの為替制度が1ドル100円だと、右の国の生産性が高いが、逆に1ドル50円だと同じになってしまう。
これであっているのかな。。。

 今の世界経済は変動為替制度でない、または為替の介入をする国も多いためより経済が複雑になっている。

 どちらにしても成功したときの対価の低い国では投資も事業もしたくないと思う。だからアメリカから新しいビジネスが生まれ続けているのだと思う。

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これから日本を支えていくものはなにか?

これから日本を支えいくものはなんだろうか?
・高齢者の貯蓄。
・輸出産業。
・整備されている日本のインフラ。
・中国に近いという場所。
・今働いている日本の人材。

 輸出産業がこの10年の日本を支えてきていて、これから10年はもっと輸出産業が重要になる。

 今、日本だけでなく世界中で内需拡大による成長を掲げている。アメリカなどの国の消費が減ったことによって、輸出が減ったなか設備や人は過剰、また株価は下がっているので現金比率が高まる中低リスク資産が欲しい。そんななか国民のだれからでも税金が取れるという国の信用力から国債を発行し、設備や人の過剰を抑える政策を実行してきた。
 内需による成長とはなんだろうか?収入における消費の割合を上げる、ほかの国からお金を引き込むことが重要になってくる。中国は確かに可能である。借金をしていない消費者もいるし、経済の成長率が高いので返せる可能性も高い、経済が成長しているので株価の収益率も上がりほかの国からの投資の資金が入る。簡単に言えば2年前のアメリカの状態が内需による成長だ。
 日本はどうか?高齢者が増える中でそれを支える消費が増える。また医療や福祉は国の管轄のものやそもそも盛り上がってもあまり市場にお金が還元できない。
 もちろん医薬品業界などの業績は上がるかもしれないが、大部分の医療に携わる病院経営による利益は市場にあまり還元されていない。(銀行などが医者に融資してそれにより利益が上がることはあるかもだが)結局病院経営は外の資本が入りにくい仕組みになっているからすでに利益を上げている大病院がどんどん大きくなる。つまり、もっとも効率のよい革新的な病院よりすでに今権力を持っている病院がその力を増す構図だ。
 ちょっと話がずれてきたので戻すが、結局人口動態と医療業界の構造の問題で、日本の消費が増えそれを市場に還元するという流れにはならないのだ。逆にこのような人口動態の影響を受けて消費は減る。だから内需は拡大しないし、内需による成長をするような流れを作り出すことは難しい。

 日本国債のアンカーとなっているものはなにか?
・輸出産業
・外貨準備(米債)
・お金持ちの海外資産

 この三つだろう。つまり、日本国債を増やして円が安くなるとこの三つの資産の価値が自動的に上昇する。また円が安くなるということ時代円を売ってドルを買うわけだからアンカーとなる資産は増え、やがて円安は止まる。ついでにいうと円高は円建ての資産がアンカーとなっているから上昇し続けることはない。

 為替が変動しているとこのような形で複雑に絡んでいるから単純な分析はできない。ただ内需拡大が難しいのであれば、世界で競争力のある輸出企業を増やし、国債の増加のアンカーを増やすことがもっともよい。また、国内にあるインフラや人は、もちろん日本経済のアンカーになる。それがグローバリズムだ。世界経済が悪化し、輸出が下がったのであれば、直ちに人の過剰を修正し、退職した人は次の職のための教育や訓練を受ける。そして世界の中でいち早く回復をしていく。こういったことができる地域がどんどん成長していく。
 決して自分の企業の信用力でお金が調達できない代わりに国がお金を調達して現状を維持することでない。

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記事元 ロイターニュース

日本の株式市場の展望について「大いに悲観的」との見方を示した。個人や外国人投資家の売買が細り流動性が低下していることや、デフレの進行が予想されることが、株式投資から資金を遠ざけると話した。

 10年前と今とで一番大きく異なるのは、人口動態と国の財政の悪化にあるあると思う。(もちろん世界と同様グローバリズムによる影響も受けているが)
 このような中で結果としてなにが起きているのか考えてみると
・日本国債の長期金利は非常に低い(米債が3.4%くらいなのに対して日本債は1.3%程度)。
・日本の金融資産の8割は50歳以上のお金持ちが持っている。
・日本の金融資産は昔から保険と年金への割合が高い。
・2008年から人口が減少しており、労働人口は人口より速いペースで減少する。
・日本の金融資産は1500兆円。
・地方債もあわせた日本の債権の合計は1000兆円超。
・日本の債権の国内保有率は9割くらい。

 日本の国債は、日本の政府との関係の強く低リスク資産を求める年金機関や保険機関によって買われているのだろう。今年に入ってからは日銀でも企業の債権の購入を行っており、また公的機関の株のポジションは増えていた。これから訪れるのは株の買い手である年金機関や保険機関の国債や株のロングのポジションが増えて流動性が低下してくる。そしてだんだん株価が下がっていく局面だと思う。もちろん株価が下げているときは債権金利の上昇局面もくるかもしれない。そうなったときは、企業への資金も激減し、日本の歳入全部が国債の金利支払いになるだろうから、逆にそのような事態ではない形で問題が表面化するかもしれない。
 日本の経済のアンカーとなっているのは輸出産業だ。通貨が下がれば輸出産業の株価収益率は劇的に上がる。そうすれば株価が割安になり日本にお金が流れる。
 どちらにしてもお金をただで手に入れることはできず、積み上げたリスクは時を重ねるごとに大きくなるに違いない。これは資本主義の力学だと思う。日本国債の金利の上昇という形で現れるか、日本の通貨の下落によって現れるか、ほかの方法で現れるかは分からないが問題は表面化する。
 またその時期も労働人口が急速に減るこの10年の中で起きるに違いない。

 ただいったん価格が下げ続ければどこかから上昇が始まることも確か。日本経済も同じことが言えるに違いない。
 日本経済のアンカーになるようなソフトウェアの企業を作る夢はなんとしても叶えたい。