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2009年7月19日日曜日

乗法的モデルと正規分布

S(k+1)=u(k)S(k)
がk=0,1,...,N-1がある。
この時、u(k)は独立同分布の確率変数。
対数をとると、
InS(n+1)=Inu(n)+InS(n)=InS(0)+\sum^{n}_{k=0}Inu(k)

となる。
u(k)が独立同分布だから当然Inn(k)も独立同分布。
nが十分大きいとき、中心極限定理より、InS(n)は正規分布になるので、Inu(k)の期待値が、
{\mu}
で分散が
{\sigma}^2
を持つなら、InS(n)の期待値と分散はそれぞれ
E[InS(k)]=InS(0)+{\mu}k

var[InS(k)]=k{\sigma}^2

である。期待値と分散はkに関して線形的に増加する。

2009年7月18日土曜日

株式の2項格子モデル

株式の2項格子モデルだが、期間Tを定めて、先ほどのように
{\epsilon}^{u(n)}
に変動する確率がqで、
{\epsilon}^{d(n)}
に変動する確率が(1-q)とする。また、R(n)を安全金利とする。
ここで、
InS(k+1)=q(n)\left(u(n)+lnS(k)\right)+(1-q)\left(d(n)+InS(k)\right)

ここでInS(n+1)-InS(n)が独立同分布ならq(n)u(n)+d(n){1-q(n)}が独立同分布である。このことからnが十分大きいときInS(n)-InS(0)の分布は、正規分布になる。また、期待値と分散は線形に増える。
InS(k+1)=q(n)\left(u(n)+lnS(k)\right)+(1-q)\left(d(n)+InS(k)\right)
ただしZは正規分布

2009年7月17日金曜日

ウィナー過程とランダムウォーク

長さが
{\Delta}t
の期間がN期あるとする。この時の加法過程をzとし、以下のように定義する。
z(t_{k+1})=z(t_{k})+{\epsilon}(t_{k})\sqrt[]{{\Delta}t}

t_{k+1}=t_{k}+{\Delta}t

この過程は1次対象ランダムウォークと呼ばれる。ただし、
{\epsilon}(t_{k})
は平均0、分散1の標準正規確率変数である。
確率過程の差分は、
z(t_{k})-z(t_{j})=\sum^{k-1}_{i=j}{\epsilon}(t_{i})\sqrt[]{{\Delta}t}

これは、正規確率変数の和なので、同然同分布で期待値は0。分散は、独立かつ同分布であることから、
var\[z(t_{k})-z(t_{j})\]=E\left[\sum^{k-1}_{i=j}{\epsilon}(t_{i})^2{\Delta}t\right]^2=(k-j){\Delta}t

つまり分散は2点間の時間の差に完全に一致する。
ここで区間が重ならないとき、上の確率過程の差分は独立である。
このようなことから
{\epsilon}(t_{k}){\rightarrow}0
とすると、
dz={\epsilon}(t_{k})\sqrt[]{dt}

上の式が存在し、ウィナー過程と呼ぶ。
1.初期値が0。
2.ウィナー過程の区間が重ならないとき、独立
3.任意のs<tについてz(t)-z(s)が平均0、分散t-sの正規確率変数となる。
(4.確率1で、見本関数(経路)が連続。)
このウィナー過程を拡張してやると以下が成り立つ。
dx(t)=adt+bdz


\{{\sigma}W_{t}+bt\}_{t=>0}
という形の確率過程を一般化されたBrown運動と呼ぶ。また
S_{t}=S_{0}exp\left({\sigma}W_{t}+bt\right)

とうい形の確率過程を幾何Brown運動という。
*性質1,2,4及び定常増分性を満たすような確率過程は、一般化されたBrown運動に限られる。

伊藤の公式

伊藤の定理
 zをウィナー過程として、確率過程xが伊藤過程、
dx(t)=a(x,t)dt+b(x,t)dz
で定義されているものとする。また
y(t)=F(x,t)
と定義されているとする。このとき、y(t)は次の伊藤方程式をみたす。
dy(t)=\left(\frac{{\partial}F}{{\partial}x}a+\frac{{\partial}F}{{\partial}t}+\frac{1}{2}\frac{{\partial}^2F}{{\partial}x^2}b^2\right)dt+\frac{{\partial}F}{{\partial}x}bdz

ここで確率過程であることなどを考えず簡易に証明
y+{\Delta}y=F(x,t)+\frac{{\partial}F}{{\partial}x}{\Delta}x+\frac{{\partial}F}{{\partial}t}{\Delta}t+\frac{{\partial}^2F}{{\partial}x^2}({\Delta}x)^2

ここで
{\Delta}t
に関してオーダー1より大きい項を整理すると、
y+{\Delta}y=F(x,t)+\left(\frac{{\partial}F}{{\partial}x}a+\frac{{\partial}F}{{\partial}t}+\frac{1}{2}\frac{{\partial}^2F}{{\partial}x^2}b^2\right){\Delta}t+\frac{{\partial}F}{{\partial}x}b{\Delta}z

上の式から微分の公式を思い出すと、伊藤の公式がだいたい成り立ちそうな気がする。

伊藤解析を用いずにB-S式を導く

 デリバティブの定義を一般化した上で、アービトラージを用いて等式を成立させ、最後に連続時間のモデルを作り、B-S式を証明していきます。

 満期Tのデリバティブのペイオフを
f(S_{T})
とすると、時刻tにおけるデリバティブの価値を
C(t,S_{t})
とする。
 時間tにおけるポジションは1単位のデリバティブとx単位の株(原資産)を持っているとする。このとき資産価値は、
C(t,S_{t})+xS_{t}
で、時間t+1における資産価値は、
{\mu}S_{t}
が株の配当で
{\sigma}S_{t}
が株価の変動を表すと、株価が上昇したときのポジションは、
C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})+x(S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})
株価が下落した時のポジションは、
C(t+1,S_{t}
+{\mu}S_{t}-{\sigma}S_{t})+x(S_{t}+{\mu}S_{t}-{\sigma}S_{t})
になる。
 アービトラージが組めないようにするとxが決まって、
x=\frac{C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})-C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}-{\sigma}S_{t})}{-2{\sigma}S_{t}}
r\left(C(t,S_{t})+xS_{t}\right)=C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})+x(S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})

にxを代入して整理すると、次の方程式が成立する。
C(t+1,S_{t})-C(t,S_{t})+\frac{r-{\mu}}{2{\sigma}}\{C\left(t+1,(1+{\mu}+{\sigma})S_{t}\right)-C\left(t+1,(1+{\mu}-{\sigma})S_{t}\right)\}+\frac{1}{2}\{C\left(t+1,(1+{\mu}+{\sigma})S_{t}\right)-2C(t+1,S_{t})+C\left(t+1,(1+{\mu}-{\sigma})S_{t}\right)\}-rC(t,S_{t})=0

この時の境界条件(満期条件)によってオプションの価格や先物の価格などの商品の現在価値や時刻tでの価値について求めることができます。

多期間二項モデルからオプション価格を求める

 まず最初に期間が増えていくと、原資産はどのように変化していくか想像してみてください。そして、期間tが経った後のコールオプション価格は、
S_{t}-K
になります。期間t-1の場合は、
S_{t-1}-K
ですが、これは1期間の2項モデルを使って
S_{t}-K
の価格から計算することができます。

 このことから、
C_{0}=\sum_{k=0}^n\frac{1}{R^n}{}_nC_kq^{n-k}(1-q)^kmax\{u^{n-k}d^kS_{0}-K,0\}}

 コールオプション価格は求めることができましたが、このままではブラックショールズの方程式を導くことができません。さらにブラックショールズの方程式は、より一般的に解くことができます。

2009年7月16日木曜日

1期間2項モデル

 1期間2項モデルとは、原資産が上昇するか減少するかの2パターンしかないときをさします。
 例えば、原資産の現在価格を100。1期間の間に90%の確率で原資産は200になり、10%の確率で50になります。この時、行使価格120のコールオプションはいくらでしょう。ただし安全金利を20%とします。(計算しやすいため)

下の方程式が成り立ち、コールオプションの価格を求めることができる。
200$\phi$+\frac{5}{4}$\psi$=80
50$\phi$+\frac{5}{4}$\psi$=0
CallOption=100\phi$+$\psi$

この連立方程式を解くことでコールオプションの価格を決めることができる。
僕は、上の方程式がピンとこなかったので、確率に関係なくアービトラージが組める最小のコールオプションの価格を計算してみます。
コールオプション
xC
xmax\{S_{t}-K,0\}
原資産
S_{0}
S_{t}
銀行
-\left(xC+S_{0}\right)
-\left(R\right)\left(xC+S_{0}\right)

右側の項目の和が正になればアービトラージ成立だから、右側の項目の和が0になる時を考える。すると、以下の変数変換をしてやると、上の連立方程式と等しくなる。
$\psi$=C+\frac{1}{x}S_{0}
$\phi$=-\frac{1}{x}

 考察としては、1期間2項モデルのオプションの価格は確率と関係なくその振れ幅(volatility)によって決まることが分かる。それは、アービトラージの成立が確率とは無関係だからである。
 このvalatilityに関してさらに考えてみるために、2項モデルの動き方を
uS_{0}
dS_{0}
とする。この時、オプション価格を計算してやると、
C=\frac{1}{R}\left(\frac{R-d}{u-d}C_{u}+\frac{u-R}{u-d}C_{d}\right)

ここでリスク中立確率というものを定義する。
q(risk-neutral probability)=\frac{R-d}{u-d}

するといかのように表すことができる。
C=\frac{1}{R}\left(qC_{u}+\left(1-q\right)C_{d}\right)

上の式だけ眺めてやると、リスク中立確率という確率空間上でのオプションの期待値の現在価値が現在のオプション価格になる。このように考えると時間を連続時間にして期待値を積分して求めたらオプション価格になりそうな気がします。また、1期間でなくこれを連続させてやり、最後に時間を小さくしてやるとどうなるみたいなことがしたくなります。

2009年7月15日水曜日

アービトラージとプットコールパリティ

次に、コールオプションとプットオプションの関係について説明します。アービトラージとは、必ず儲かる取引のことを言います。だから、アービトラージは長くは続かず、アービトラージが組めないように相場は決まります。
一応以下の内容を先に仮定しておきます。

* 無リスク金利で借金ができる。
* 株式を負の量保有できる。
* 取引コストがゼロ。
* 取引相手の信用リスクがゼロ。

上の条件が成り立つとき、プットコールパリティが成立する。
C_{0}-P_{0}=S_{0}-\frac{K}{1+R}
K:オプションの行使価格 S:原資産の価格 P:プットオプションの価格 C:コールオプションの価格 R:安全金利とします。
C_{0}-P_{0}>S_{0}-\frac{K}{1+R}
の時
コールオプション
-C_{0}
-max\{S_{t}-K,0\}
プットオプション
P_{0}
max\{K-S_{t},0\}
銀行
\left(C_{0}-P_{0}-S_{0}\right)
\left(1+R\right)\left(C_{0}-P_{0}-S_{0}\right)
原資産
S_{0}
S_{t}

-max\{S_{t}-K,0\}+max\{K-S_{t},0\}+\left(1+R\right)\left(C_{0}-P_{0}-S_{0}\right)+S_{t}=\left(1+R\right)\left(\frac{K}{1+R}+C_{0}-P_{0}-S_{0}\right)

このようなトレードをアービトラージと言います。もちろん新聞でプットオプションとコールオプションを調べてみると上の等式がほぼ成り立っていることが確認できます。

オプションとはなにか

オプションとはなにか?
 調べてみると、特定の期日に、特定の売買を行う権利。なにかを「買う」権利をコールオプション(call option)、「売る」権利をプットオプション(put option)と言うようです。では、プットオプションのロング(買い)とコールオプションのショート(売り)はどのように違うのでしょうか?このように文系ぽくオプションを説明していくとわけ分からなくなります。
Long Call Option=max\{S_{t}-K,0\}

Long Put Option=max\{K-S_{t},0\}

K:オプションの行使価格 S:原資産の価格
 つまり、コールオプションは購入するものが今より満期時に高くなったときには、オプションの価値は0で、逆に満期時に安くなっていた場合にはオプションは、その差額だけの価値になります。
 上のオプションのことをヨーロピアンオプションと呼び、期日内であればいつでも権利を行使できることをアメリカンコールオプションと言います。他にも、権利を行使する期間がある時期にだけ限定されるものなど複雑なものはたくさんあり、それを総称してエキゾチックオプションと言います。(あとで余裕があれば説明します。)ただこれから話をするB-S式(ブラックショールズ式)は、満期の期日を決めてますから、ヨーロピアンオプションにしか適応できません。

*満期とは、権利を行使する日のことを言います。デリバティブ(派生商品derivative security)とはある別の商品(原資産underlying security)の価格を基に価格が決まるような証券のこと。ペイオフとは、満期時のデリバティブの価値です。

 オプションをもう少しイメージするために、特約付外貨預金を例に上げてみます。下は、実際にソニー銀行で売られている商品です。
ソニー銀行の特約付外貨定期預金・タイプ1について









特約付外貨定期預金・タイプ1のイメージ
より高い金利を期待できる代わりに、特約レートより円安時の為替差益は放棄。

特約付外貨定期預金・タイプ1(以下、「タイプ1」)は、参照レートが特約レートと同じか円安の場合、満期日に元利金を特約レートで円に交換し、お客さま名義の円普通預金口座へ入金する特約が付されている外貨定期預金です。参照レートが特約レートより円高となった場合には、この特約は消滅し、満期日に元利金を預け入れ通貨のままお客さま名義の預け入れ通貨の外貨普通預金口座へ入金します。


 どのような商品か分かりましたか?

 このソニー銀行の特約付外貨預金では、契約者は(預金者)ドルを原資産とするプットオプションのショートの取引をしていることになります。個人的には、ショートプットオプション付き外貨預金と命名したほうがわかりやすいと思いますが。。笑