最初、円が90円くらいだと日本の輸出産業は勝てないから、これ以上円高になることはないかなと思った。経済が維持できないからだ。でも実際には円高が進行。
輸出産業と円は短期的に関係ないのだ。
日本は債権国。中高年のお金を持っている人のポジションが海外資産を買っている状態なのだ。彼らが、退職し日本で暮らしていくなら円を買うことになる。
当たり前だが、債権国であるためには、
海外が買っている円資産<日本が買っている海外資産
であるということだ。日本がお金持ちだから海外の資産を買っているわけでなく、日本より海外の方が円ベースで儲かる投資先が多いからそうなっている。
円高にも関わらず、まだ日本は債権国であるなら、
・もっと債権国になって(海外資産を買って)円安になるか。
・円高になって、債権国でなくなる(海外資産を売って)かだ。
前者は発散するから続かない。が、ある程度は進む。
・日本がデフレで海外がインフレで為替がそのままだと、円ベースでの日本の物価は世界と比べて下落。
・円高になると、円ベースでの日本の物価は世界と比べて上昇。
均衡がとれるから上の二つは同時に進行する。
デフレだから円高。円安にすればデフレは解消。
ただ日本の外貨準備は増え、そのポジションを解消するためには円高になる。
リスクはなくならず、ただ移動するだけ。
金融政策だけで簡単に解決する方法はなさそうだと改めて思う。
これからのシナリオとしては、
・「円安」海外資産が割安なので買う。
理由は、
・国内企業の業績より海外企業の業績のほうがよい。
・円が高いので今までより海外資産が割安。
これだけの理由で「円安」になるなら、最初考えていた国内企業の輸出産業にとってよい水準の為替に変わると考えていい。
でもそうならないのは、
・収入の減った人が投資・貯蓄を減らし、国内で消費。(景気悪化と退職)
・日本国債買うだけでリターンは十分。
まだ日本の金融資産が増えているのなら前者の理由は間違いで、後者の影響が非常に大きい。ただ人口動態の影響で前者の影響もでてくるはず。
シナリオとしては、海外の市場金利がそのままなら
1.貯蓄率が上昇し、日本の消費はかなり落ち込む。そして、貯蓄した資産が海外へ投資。円安になる。GDPはぐっと減る。
2.生活するためのお金を日本に引き戻し、貯蓄率は低下。円高はそのままで、日本の輸出産業は海外へのポジションシフトを進める。株式市場はさらに下落。
3.貯蓄率はそのまま、日本の消費はゆっくり落ち込む。円高はじわりと上昇。国債は売れる。海外投資家は日本市場からグッバイ。
海外の市場の金利が上昇すれば、これとは別の形に。どちらにしても相対的には世界から置いてけぼりになるシナリオしか思い浮かばない。
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