2009年7月17日金曜日

伊藤解析を用いずにB-S式を導く

 デリバティブの定義を一般化した上で、アービトラージを用いて等式を成立させ、最後に連続時間のモデルを作り、B-S式を証明していきます。

 満期Tのデリバティブのペイオフを
f(S_{T})
とすると、時刻tにおけるデリバティブの価値を
C(t,S_{t})
とする。
 時間tにおけるポジションは1単位のデリバティブとx単位の株(原資産)を持っているとする。このとき資産価値は、
C(t,S_{t})+xS_{t}
で、時間t+1における資産価値は、
{\mu}S_{t}
が株の配当で
{\sigma}S_{t}
が株価の変動を表すと、株価が上昇したときのポジションは、
C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})+x(S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})
株価が下落した時のポジションは、
C(t+1,S_{t}
+{\mu}S_{t}-{\sigma}S_{t})+x(S_{t}+{\mu}S_{t}-{\sigma}S_{t})
になる。
 アービトラージが組めないようにするとxが決まって、
x=\frac{C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})-C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}-{\sigma}S_{t})}{-2{\sigma}S_{t}}
r\left(C(t,S_{t})+xS_{t}\right)=C(t+1,S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})+x(S_{t}+{\mu}S_{t}+{\sigma}S_{t})

にxを代入して整理すると、次の方程式が成立する。
C(t+1,S_{t})-C(t,S_{t})+\frac{r-{\mu}}{2{\sigma}}\{C\left(t+1,(1+{\mu}+{\sigma})S_{t}\right)-C\left(t+1,(1+{\mu}-{\sigma})S_{t}\right)\}+\frac{1}{2}\{C\left(t+1,(1+{\mu}+{\sigma})S_{t}\right)-2C(t+1,S_{t})+C\left(t+1,(1+{\mu}-{\sigma})S_{t}\right)\}-rC(t,S_{t})=0

この時の境界条件(満期条件)によってオプションの価格や先物の価格などの商品の現在価値や時刻tでの価値について求めることができます。

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