2009年7月16日木曜日

1期間2項モデル

 1期間2項モデルとは、原資産が上昇するか減少するかの2パターンしかないときをさします。
 例えば、原資産の現在価格を100。1期間の間に90%の確率で原資産は200になり、10%の確率で50になります。この時、行使価格120のコールオプションはいくらでしょう。ただし安全金利を20%とします。(計算しやすいため)

下の方程式が成り立ち、コールオプションの価格を求めることができる。
200$\phi$+\frac{5}{4}$\psi$=80
50$\phi$+\frac{5}{4}$\psi$=0
CallOption=100\phi$+$\psi$

この連立方程式を解くことでコールオプションの価格を決めることができる。
僕は、上の方程式がピンとこなかったので、確率に関係なくアービトラージが組める最小のコールオプションの価格を計算してみます。
コールオプション
xC
xmax\{S_{t}-K,0\}
原資産
S_{0}
S_{t}
銀行
-\left(xC+S_{0}\right)
-\left(R\right)\left(xC+S_{0}\right)

右側の項目の和が正になればアービトラージ成立だから、右側の項目の和が0になる時を考える。すると、以下の変数変換をしてやると、上の連立方程式と等しくなる。
$\psi$=C+\frac{1}{x}S_{0}
$\phi$=-\frac{1}{x}

 考察としては、1期間2項モデルのオプションの価格は確率と関係なくその振れ幅(volatility)によって決まることが分かる。それは、アービトラージの成立が確率とは無関係だからである。
 このvalatilityに関してさらに考えてみるために、2項モデルの動き方を
uS_{0}
dS_{0}
とする。この時、オプション価格を計算してやると、
C=\frac{1}{R}\left(\frac{R-d}{u-d}C_{u}+\frac{u-R}{u-d}C_{d}\right)

ここでリスク中立確率というものを定義する。
q(risk-neutral probability)=\frac{R-d}{u-d}

するといかのように表すことができる。
C=\frac{1}{R}\left(qC_{u}+\left(1-q\right)C_{d}\right)

上の式だけ眺めてやると、リスク中立確率という確率空間上でのオプションの期待値の現在価値が現在のオプション価格になる。このように考えると時間を連続時間にして期待値を積分して求めたらオプション価格になりそうな気がします。また、1期間でなくこれを連続させてやり、最後に時間を小さくしてやるとどうなるみたいなことがしたくなります。

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